ほの赤い道のほとりで。
2007年11月9日出先の帰り道
人ごみを避けて
中心通りではなく
公園横の道を歩いていきました
散歩にはいい季節です
落ち葉も少し散り敷いて
道が ほんのり赤かった
みうの前には
老夫婦がお互いがお互いを支えながら
ゆっくりと歩いていました
おぼつかない足取りの女性を
しっかりと男性が抱えて
ゆっくりと
そう
本当に ゆっくりと
(そして追い越すタイミングを失ったみうも ゆっくりと)
・・・そうしているうちに
何かのきっかけで
二人は道の端にあったベンチに
腰を下ろしました
最初に女性が
それを見届けて男性が
そして みうは
ゆっくりと 彼らの前を通り過ぎるときに
見たのです
二人が お互いの顔を見て
なんとも言えない
本当に なんとも言えない
微笑みをかわして
そしてまた同じ方向の空を見上げたのを。
・・・・・・・。
到達、っていうのかな、と思いました。
色んな出来事や長い時間を飲み込んで
それでも二人が
なんとか手を離さなかった
そういう人たちが 見せる表情
そういう人たちだけが 見られる世界
そんな気がしました
・・・そして、みうには
ある景色の記憶がよみがえっていました
3年前の春
何度目かの定期健診に向かう途中
大学病院の構内の 満開の桜の木のしたで
見た光景です
・・・・・・・・・・
そこでは
年配のご夫婦と思われる二人が
置物のように抱き合っていました
女性は
やせ細り真っ白な顔をし
病院服の上に厚いガウン
そして 深々と頭をかくした帽子をかぶっていました
みうも同類だったことがあるので
彼女の物語がすぐにわかりました
そして男性は その彼女を
しっかりと
固く固く抱きしめていたのです
まるで
彼女の魂を
身体から出してたまるか と言わんばかりに。
・・・桜たちが見下ろすその場で
周囲は
まるで彼らの呼吸しか音が無いみたいに静か
桜のちらちら落ちる花びらだけが
静止画のなかの動くものでした
・・・そんな幻想的な世界で
女性は
男性の肩に乗せられた彼女の顔は
本当に幸せそうに目を閉じて微笑んで
本当に本当に
満足そうな顔をしていました
二人はそうして
ずっと桜風に吹かれていたのです
・・・みうは
その光景に出会い涙が止まらず
少しだけ検査の時間に遅れて行ってしまいました
今日見かけた老夫婦を見て
その記憶がよみがえったのです
・・・・・・・・・・・
・・・みうはね。
少し前に
「君を死ぬまで面倒見てやるよ 君が死ぬまで見届けてあげるよ」
とまで言ってくれた
みうを大好きになってくれたことのある人の手を
ふりほどいてしまったんです
この短い こちらの世の時間の中で
一緒に歩める大事な人を見つけた人は
それだけで
幸せだよね
・・・彼らの 笑顔が
みうには
ダイヤモンドのように焼きついたのでした
人ごみを避けて
中心通りではなく
公園横の道を歩いていきました
散歩にはいい季節です
落ち葉も少し散り敷いて
道が ほんのり赤かった
みうの前には
老夫婦がお互いがお互いを支えながら
ゆっくりと歩いていました
おぼつかない足取りの女性を
しっかりと男性が抱えて
ゆっくりと
そう
本当に ゆっくりと
(そして追い越すタイミングを失ったみうも ゆっくりと)
・・・そうしているうちに
何かのきっかけで
二人は道の端にあったベンチに
腰を下ろしました
最初に女性が
それを見届けて男性が
そして みうは
ゆっくりと 彼らの前を通り過ぎるときに
見たのです
二人が お互いの顔を見て
なんとも言えない
本当に なんとも言えない
微笑みをかわして
そしてまた同じ方向の空を見上げたのを。
・・・・・・・。
到達、っていうのかな、と思いました。
色んな出来事や長い時間を飲み込んで
それでも二人が
なんとか手を離さなかった
そういう人たちが 見せる表情
そういう人たちだけが 見られる世界
そんな気がしました
・・・そして、みうには
ある景色の記憶がよみがえっていました
3年前の春
何度目かの定期健診に向かう途中
大学病院の構内の 満開の桜の木のしたで
見た光景です
・・・・・・・・・・
そこでは
年配のご夫婦と思われる二人が
置物のように抱き合っていました
女性は
やせ細り真っ白な顔をし
病院服の上に厚いガウン
そして 深々と頭をかくした帽子をかぶっていました
みうも同類だったことがあるので
彼女の物語がすぐにわかりました
そして男性は その彼女を
しっかりと
固く固く抱きしめていたのです
まるで
彼女の魂を
身体から出してたまるか と言わんばかりに。
・・・桜たちが見下ろすその場で
周囲は
まるで彼らの呼吸しか音が無いみたいに静か
桜のちらちら落ちる花びらだけが
静止画のなかの動くものでした
・・・そんな幻想的な世界で
女性は
男性の肩に乗せられた彼女の顔は
本当に幸せそうに目を閉じて微笑んで
本当に本当に
満足そうな顔をしていました
二人はそうして
ずっと桜風に吹かれていたのです
・・・みうは
その光景に出会い涙が止まらず
少しだけ検査の時間に遅れて行ってしまいました
今日見かけた老夫婦を見て
その記憶がよみがえったのです
・・・・・・・・・・・
・・・みうはね。
少し前に
「君を死ぬまで面倒見てやるよ 君が死ぬまで見届けてあげるよ」
とまで言ってくれた
みうを大好きになってくれたことのある人の手を
ふりほどいてしまったんです
この短い こちらの世の時間の中で
一緒に歩める大事な人を見つけた人は
それだけで
幸せだよね
・・・彼らの 笑顔が
みうには
ダイヤモンドのように焼きついたのでした
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